
2020年違和感Word グランプリ
プレゼン・スピーチ
■違和感のある言い回し
聞くたびに「ん?」と思う言葉がいくつかあります。
私は、人一倍「ん?」と、違和感を持つ回数が多いのですが、
違和感を持つ理由は、この言い回しは正しくないから、
などという「日本語の手引き」的なものが基準になるわけではありません。
また、スピーチ指導はしていますが、常にきちんとした滑舌で、
分かりやすく、正確にしゃべりましょう、なんて思っているわけでもありません。
むしろ滑舌が良すぎると上から目線に感じることもありますし、
親しいのに敬語ばかりだと距離が縮まらない気がするし、きちんとしていないほうがいいことも多々あると感じていたりします。
私の違和感は、かなり感覚的なもので、主観なのですが、
「なぜ違和感を感じるのか」と掘り下げていくと、
必ず理由がみつかります。
今年も何回か「ん?」と感じましたので、
2020年の締めくくりとして、
今年感じた違和感ベスト5を発表させて頂きます。
■2020年違和感ワードベスト5
第5位 ほぼほぼ
数年前から使われるようになり、
2016年の「新語大賞」(三省堂)にもなった、輝かしい言葉です。
ですが、私は何度聞いても「ん?」が生じてしまいます。
繰り返す意味がよく分からないのです。
「ほぼ」が、85%だったら、
「ほぼほぼ」は、90%~99%くらいということ?
「副詞を繰り返すと量が増す」
という新感覚のシステムにまだどうしてもついていけません。
このシステムを応用すると、
「しばらく」と言うと、1年ぶり、
「しばらく、しばらく」だと2年ぶり。
ということ?
「もし」と言うと、
10%の可能性しかないのに、
「もし、もし」だと可能性は30%。
ということ?
そういうことになりますよね。
誰も言いませんが。
どうもそこまで瞬間的にイメージしてしまうため、
違和感が生じるようです。
「ほぼの二乗」にそろそろ終止符が打たれることを祈っています。
☆修正案=ほぼ/ほとんど/大方/かなり/9割がた/おおむね
第4位 よろしかったですか?
ちょっと古めの言い回しですが、2020年の今年も何度も聞きました。
この言い回しが出没したとき、
マスコミなどでボコボコにされたのにも関わらず、
根強い人気を誇っています。
ある意味、根性のある言い回しです。
「かった」という過去形を、敬語として扱っているため、
敬語なのか過去形なのかが分からず、
過去の話の了解を得たいのか、相手を敬いたいのか、
たまらない違和感に包まれてしまいます。
電話オペレーターやお店の方などとのやりとりで、
会話の中に2回「よろしかったですか?」が出てくると、
私はたいがい5秒間、金縛りにあってしまいます。
2回目のとき、必ずこの症状が現れます。
5秒間無言になっている私に対して、相手の方はたぶん、
「この人、私の言葉を理解できないんだ。かわいそうに」
と、思っているでしょう。
ですが、どうしても金縛りが解けません。
年明けには、金縛りの回数を1回でも減らせることを祈っているのですが。
☆修正案:よろしいでしょうか
第3位 エビデンス
コロナに翻弄された2020年、
やたらめったら「エビデンス」という言葉が使われるようになりました。
政治家も、科学者も、医者もさりげなく話の中に盛り込み、そこから波及して、インストラクターや、スポーツ選手、タレントまで、
「エビデンス、エビデンス」と言いたがりますが、
なんでそこだけ突然英語なのでしょうか。
エビデンスは、「根拠」「証拠」「裏付け」等の意味ですが、
なぜ日本語ではダメなんでしょうか。
考えられる理由は3つ。
〇「エビデンス」には、「ビ」と「デ」という濁点文字が二つ入っているため、言葉に強さが生まれ、
発音していて気持ちがいい。自分が強くなった気分になれる。
〇みんなが言うから、自分も言う。
〇根拠、証拠というとダサいような気がしてしまう。
又は、英語を盛り込んだほうが頭が良さそうに見えるかもしれない。
理由としては、こんなものでしょう。
ですが、「エビデンス」の認知率はまだ約23%、理解率は9%程度と言われています。
せっかくいい話をしていて、分からない単語が一つでも出てくると、
人はその後、話しを聞きたくなくなってしまうもの。
途中で英語を入れたからといって、そんなに頭は良さそうには見えませんし、
ルー大柴さん以外はそんなにウケもしません。
ルーさんもウケないか…。
☆修正案=根拠・証拠・根幹となるような重要なもの・裏付け
追加案:エビデンス好きのために「海老天酢」というランチを作るのはどうでしょう。
2位 ら抜き言葉
食べれない、出れない、見れない、寝れない、起きれる等々。
いまだに「ら抜き言葉」に「ん?」となってしまいます。
「ら抜き言葉」には、もう観念すべきなのかとメゲそうになるほど日本中を席巻していますが、歴史をたどると昭和初期から使われていたようです。
ですが、ここ数年で一気にポピュラーになってきて、その勢いは日に日に増すばかり。
私のアンテナはかなりの回数「ら抜き言葉」にと反応してしまうので、
なかなか気が休まりません。
ですが面白いのは、テレビで出演者が「ら抜き言葉」を使っていても、
字幕にはほとんどの場合「ら」が入っていることです。
「今日ごはん食べれなかったの」と、あるタレントが言うと、
字幕では「今日ごはん食べられなかったの」と、ちゃんと「ら入り」で書かれています。
テレビ制作のスタッフは、ら抜きを敬遠するであろう方々に向けて、
字幕でメッセージを発しているのかもしれません。
「視聴者の皆様、すみませんね、彼女まだ若いから『ら抜き』でしゃべっているけど、悪気はないんです。本当は『食べられない』ですよね。分かってます。
分かっているんですけど、なかなか。今度ちゃんと言っておきますね。」と。
この思いが、字幕の「ら入り」に込められているように思います。
ですが、残念ながら「言葉」と「文字」のギャップが、
よけい「ら抜き言葉」を強調しちゃっています。
「ら抜き愛好家」の方が多いので、ここはひとえにお願いベースでしかないのですが、もう少しだけ「ら」の存在意義を認めて頂けたら嬉しいいのですが。
☆修正案:「ら」を入れる。
グランプリ 感謝しかない
このところ増殖スピードが速い「感謝しかない」を1位にさせて頂きました。
たぶん、使って入る方は、感謝の強さを下記のようなニュアンスで捉えているのでしょう。
3、感謝している(中)
2、すごく感謝している(大)
1、感謝しかない(最大)
ですが、感謝の最上級は「感謝しかない」なんかじゃありません。
「感謝しかない」の「しか」は、「限定」という意味を持つ「副助詞」です。
そして「しか」ときたら、「ない」と続くので、「しか」と「ない」はセットです。このセットは今まで否定的な用法でしか使われていませんでした。
1つしかない。
行くしかない。
泣くしかない。
悪意しかない。等々。
それが、「感謝」という肯定的なことばにくっついているから、違和感があるわけです。
特に「感謝」というのは、私が思うに後光がさすほど高貴なことば。
この高貴な言葉を、今まで否定的な用法で使われてきた言い回しの中に入れるのは、黒い水の中に澄んだ水を一滴垂らすような感じがして、
「感謝」が見えなくなってしまうような気がするのです。
それともう一つ、私が違和感を持つ一番の理由は、「感謝しか」と感情をひとつに限定してしまうことです。
人間には、様々な感情があります。
<ポジティブな感情>
安心/感謝/安心/感謝/満足/興奮/幸福/幸運/尊敬/憧れ/興味/親近感/可能性/喜び/開放/期待/意欲/勇気/快感/愛しさ/好奇心/安定/自信/栄光 等々
<ネガティブな感情>
不安/不満/無念/嫌悪/恥/軽蔑/嫉妬/罪悪感/焦り/後悔/諦め/孤独/苛立ち/自責/怨み/苦しみ/ 悲しみ/ 切なさ/ 怒り/ 劣等感/ 恐怖/ 困惑 /憎悪/ 絶望 等々。
様々な思いが錯綜するのが感情なわけで、自分の意志ではなかなかコントロールすることがでできません。
だから難しいし、だから素晴らしいし、だから面白いのが感情です。
ネガティブなときは、悲しい、苦しい、腹が立つなど、自分のひとつの言葉でしか思いを表せないこともありますが、
ポジティブなとき、特に感謝の気持ちを抱いているときは、心に余裕があるので、自分の中の様々な感情を感じ取ることができます。
揚げ足を取るわけではありませんが、感謝という気持ちの中には、時と場合と相手によって、そのほかの様々な感情が渦巻いているはずです。
「感謝を言葉にする」という行為は、最高に素敵なこと。
言い回しをアレンジするのはいかがでしょうか。
☆修正案:感謝しています/心から感謝しています/感謝の気持ちでいっぱい 等
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