桑名涼子|MC司会|講演|

「頑張って!」は自分が自分に言う言葉?

コミュニケーション

つい先日、ラジオパーソナリティーの女性と食事をしていたときのこと。

うつむき加減で彼女が言いました。

「桑名さんは、番組とかイベントとかで、
誰かに『頑張って』って言ったことある?」

「まさか!」
私は即座に答えました。

ほぼ、言ったことがないからです。

「ない」ではなく、思わず「まさか」と言ってしまったことに、
自分でも驚きました。

「じゃ、『頑張りましょう』は?」

「それもないかな」

こちらは、「ないかな」と優しく言えました(笑)。

 

「だよねー。私もね、気を付けていたんだけど、昨日の番組で、あるインストラクターさんと電話をつないで話していて、シメる言葉が思いつかずに、つい『頑張って下さい』って、言っちゃったの。偉そうだよね。
しまったと思って、焦って『頑張りましょう』って、へりくだったつもりで言い直したんだけど、同じだよね。
メゲた……」

彼女は、言葉を大事にしている人なんだなと思いました。

 

 

私は、公共の場だけでなく、どんな場面でも、ほぼ「頑張って」と言わないんです。

数は少ないですが、言うとしたら2つの場面だけでしょうか。

ひとつは、目の前の相手が「私、頑張る!」と、自分に対して言ったとき。
もうひとつは、スポーツや仕事、手術、リハビリなど、極限までトライしている人を目の前にして「もう一歩!」と感じたとき。

たぶん、この2つの場面なら「頑張って」と言うこともあるかと思います。

 

 

なぜ、ほぼ言わないかというと、
「頑張る」は、自分が自分に対して言う言葉だと感じているからです。

 

「頑張る」の本来の意味は、「我を張る」「眼を見張る」「忍耐して努力する」「気張る」「ゆずらず主張する」など。

張り詰めたニュアンスがいっぱいです。

 

人はリラックスをしてこそ本来の力が発揮できるのに、張り詰めてしまっては元も子もありません。

 

トーク心理学的にも、「頑張って」と言うと、精神的に相手を追い詰める場合があり、言われた人はプレッシャーを感じたり、指示されていると感じたり、上から目線だと思ったりする人もいます。
もちろん「誰に言われるか」「どんなニュアンスで言うか」でも、大きく変わってきますので、言われて嬉しい場合もあるでしょう。
とても尊敬している相手に心を込めて言われたら嬉しいかもしれません。

 

ですが、「頑張って」をほかの言葉に言い換えることもできます。

「すごいね」
「やるね」
「素晴らしいね」
「イキイキしてるね」
「楽しそうだなー」
「カッコいい!」
「すごくいいい感じ!」

プレッシャーを感じさせず、指示もせず、上から目線でもなく、追い詰めることもない、素敵な言葉がたくさんあります。

もし今まであまり考えず「頑張って」と言っていた方は、「変換あそび」を試してみてはいかがでしょうか。

 

言葉は、無意識の中にひっそりと入り込みますから、相手との関係によりよい変化が訪れるかもしれません。



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