企業が求める人材は16年連続「コミュニケーション能力」その打開策
コミュニケーション
日本経団連が調査した「企業が社員採用時に求める資質」の統計をご覧下さい。
横軸が「年」で縦軸が「割合」です。
企業が社員採用時に求める資質は、16年間連続ダントツで「コミュニケーション能力」が第1位です。
2位の主体性とは、大きな差がついています。
16年間コミュニケーション能力の高い人を求めているということは、16年間コミュニケ―ション能力のある人が増えていないということでもあります。
なぜ、こんなにもコミュニケーション能力のある人が少なく、育たないのでしょうか。
■企業は「コミュニケーション能力」をどう捉えているのか?
まず最初に新入社員を採用する側の企業の方々は、「コミュニケーション能力」というものをどんなふうに捉えているのかを考えてみましょう。
これは、各企業が行っている新入社員に対するコミュニケ―ション研修の内容を見ると、推測できます。
多くの企業のコミュニケーション研修は、「名刺の渡し方」「挨拶の仕方」「トラブル対処法」「会話の仕方」「信頼の築き方」「話の聞き方」………等が中心です。
つまり、「コミュニケーション能力」の高い人とは、人と上手くやっていける人、相手を不快させない人など『対人関係が円滑にできる人』と捉えているようです。
ですが、こうして「対人コミュニケーション」に意識を向け、「対人コミュニケーション研修」からスタートしていては、いつになってもコミュニケ―ション能力は、育ちません。
対人コミュニケーションのベースにあるのは、セルフ・コミュニケーション(自分との調和)だからです。
まず、自分自身には、どういう傾向があり、何につまづき、どんなときに自分らしさを失い、何を得意とするのかなどを知ったうえで、自分自身と気持ちよく調和をすることが、セフル・コミュニケーションです。
つまり、自分自身とのコミュニケ―ション(セルフ・コミュニケーション)がとれていない状態で、円滑な人間関係(対人コミュニケーション)の方法について学ぶのは、基礎工事をしないで家を建ててしまうようなもの。
何回やっても、何百回やりなおしても、ゆるぎないコミュニケーション能力がつくはずもありません。
■ 対人コミュニケーションが上手くいかないわけ
対人コミュニケーションには苦手な相手との対応力も大きなポイントになります。
自分自身と調和をとるうえで、苦手な人は、自分の悪癖を確認させてくれるために表れるという捉え方で見ていくと、分かりやすくなります。
苦手な相手とどうやって仲良くなるかではなく、この人を苦手と思う自分自身の問題点は何かと考えていくということです。
自分を責めるのではなく、苦手だと思ってしまう自分の中の要因を見つけていくわけです。
私は以前、すぐに血相を変えて怒りやじれんまをぶつけてくるあるラジオのディレクターに怯えていたことがありました。
私はパーソナリティーを担当していたのですが、顔を見ただけで、委縮してしまうため、自分らしさが全く出ないだけでなく、原稿読みを間違えたり、とにかく日々動揺していました。
ですが、その原因は私自身にありました。
理不尽なことで怒るディレクターに対して、「自分の意見が言えなかった」のです。
言えなかった理由は、私が自分の意見を言うことで、相手が気分を害して余計怒りに拍車がかかるのではないか、クビになるのではないかと、思っていたからです。
ですが、この気弱さが、相手の怒りを増幅させる根源でした。
「嫌われても、クビになってもいい。理不尽な相手の言葉にはきちんと自分の意見を言おう」
そう腹に決めた瞬間、相手は氷が一気に溶けだすように、信じられないほど態度が変わりました。
怒りや苛立ちを私にぶつけることがなくなったのです。
自分が変われば、相手は必ず変わる。
これは、何度となく経験してきました。
コミュニケ―ション能力をつけるための打開策は、対相手よりもまずは自分と向き合う習慣です。
企業の皆様は、そのための研修を真っ先に取り入れ、セフル・コミュニケーションを整え、土台を作った後に、対人コミュニケーションについての研修を行ってはいかがでしょうか。
何よりも、指導する立場にいる現役社員の皆様ご自身が、自分自身と調和をとっていくということが、新入社員のコミュニケ―ション能力を高めていく第一歩であり、最大の打開策であると考えています。
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