発声練習よりも「間」がスピーチの決め手!
メンタル
■ 発声練習はスピーチ上達に直結しない
スピーチ教室やプレゼンテーションのトレーニングなどでは、
よく発声練習している光景を見ます。
なぜ?
と、私はいつも思うのです。
実は私も、スピーチの指導をし始めた頃は、
発声練習を取り入れていました。
なぜ取り入れたかと言うと、
腹式呼吸などの効果がスピーチにも反映され、
滑舌のいい堂々としたスピーチができるようになると思っていたからです。
ですが、何回やっても、誰がやっても、
スピーチに変化が起きることはありませんでした。
その理由は、すぐに分かりました。
スピーチやプレゼンは、「いい声を出すこと」を第一に目標にしているわけではなく、
緊張せず、自分らしく、伝えたいことを伸び伸びと聴く人の心に響くように話すことが目標だからです。
歌や一部のナレーションであれば、
「いい声」は、必須かもしれません。
ですが、スピーチやプレゼンの目的は、違います。
「思い」や「考え」を届けることです。
「思い」や「考え」を届けることを目標におきながら、
腹式呼吸や滑舌に気を遣うことは至難の業です。
マイクを持って話しているとき、意識を向けるところはたくさんあります。
自分自身の身なり、お客様の反応、話の内容、表情、しぐさ、テンポなど…。
慣れてくれば、すべてを無意識にこなせるようになるとはいえ、
スピーチやプレゼンを習う段階においては、
これだけいろいろなところに意識を向けながら、
「腹式呼吸で話そう」「声を遠くに飛ばそう」などと、
意識することなんてほぼできません。
練習のときはできても、いざマイクを持って人前に立ったら、できなくなるのです。
これが、発声練習がスピーチ上達に直結しない原因です。
たとえできたとしても、腹式呼吸や、大きな声や、
声を飛ばすことで、聴く人の心に話を響かせることはできるかというと、
そういうわけでもありません。
■スピーチに効果のない発声練習をするわけ?
では、なぜ多くのスピーチ、プレゼン教室では、
発声練習をするのでしょうか。
考えられる理由は2つ。
① 発声練習をすることで、リラックスしたり、元気になったり、声がでるようになる。
② 生徒に「習ってる感」を持ってもらえる。
この二つの理由が考えらえますが、リラックスしたり、元気になったりするためだったら、
軽快な音楽をかけて踊ったり、
ちょっとした体操をいれたほうがずっと効果があります。
「習ってる感」だけではなく、「確実に声(滑舌・ボリューム・テンポ・分かりやすさ)を手に入れるなら、発声練習よりも、「メリハリをつけて何かを読む」ことのほうが、何倍も効果があります。
たとえば、自己紹介。
「はじめまして。桑名涼子です」
と普段はスンナリ言うところを、
「はじめまして(間・間)。桑名涼子(立てる)です」
と、間を空け、大事な言葉を立てるだけです。
*「立てる」というのは、ゆっくり話したり、ボリュームを大きくしたり、丁寧に話したりして、言葉を「際立たせる」という意味です。
「野原に100万本の美しいバラが咲いています」
といつもはスンナリ言うところを、
「野原に(間)100万本の美しいバラ(立てる)が咲いています」と、
間と大事な言葉を立てて言うだけです。
この1行を誰かに目をつぶって聞いてもらい、
野原に美しい100万本のバラが本当に咲いているところがイメージできるかを聴いてみます。
何度も何度も繰り返し言葉にして、
「イメージできた!見えた!バラが見えた!」
というところまで付き合ってもらいます。
これが、人に伝えるということです。
伝えるということは、
人の頭にしっかり映像を浮かび上がらせること。
心を動かすことです。
言葉に魂を込めることです。
そのためには、「間」と「立てる言葉」がバツグンに役に立ちます。
「間」と「立てる言葉」をフル活用して、
「本気で人に言葉を伝える」ということを日常会話でちょっと試してみてください。
あなたの話の「分かりやすさ」は、必ずグンと跳ね上がり、
きっと「伝えること」の喜びを実感できますよ。